M&A後のPMIが停滞するとき、
原因が「実行力不足」や「現場の抵抗」に見えることがあります。
しかし実際には、
PMI責任者の役割設計が曖昧であることが、統合の進捗に大きく影響しているケースは少なくありません。
PMIは単なるプロジェクトではなく、
複数の組織・文化・利害が交差する経営課題です。
その推進役である責任者に、何を期待し、どこまで委ねるのか。
この設計が初期段階で明確になっているかどうかが、統合のスピードを左右します。
PMI責任者の本来の役割
PMI責任者の中心的な役割は、
統合を「実行すること」そのものではなく、
統合を前に進める構造を整えることにあります。
具体的には、
・統合テーマの優先順位整理
・進捗管理と課題の可視化
・部門間の論点整理と調整
・経営層への報告と提言
といったハブ機能を担います。
責任者が全てを抱え込むのではなく、
関係者が動きやすい環境をつくることが本質的な役割です。
役割設計が曖昧な場合に起きること
PMI責任者の役割と権限が明確でない場合、
・意思決定が経営に戻りすぎる
・現場判断が過度に分散する
・調整業務に時間が割かれ、戦略議論が進まない
といった現象が起きやすくなります。
これは個人の能力の問題ではなく、
構造設計の問題です。
PMIが円滑に進む企業では、
・責任者の権限範囲が明確
・経営トップが公式に委任を示している
・部門横断チームが補完機能を持つ
という前提が整えられています。
PMIは「人選」より「設計」
PMI責任者に優秀な人材を配置することは重要です。
しかしそれ以上に重要なのは、
どのような役割構造の中で機能してもらうのか
という設計です。
人に依存した統合は不安定になりやすく、
構造に基づいた統合は再現性を持ちます。
PMIは短距離走ではなく、長期の経営プロセスです。
責任者を孤立させない設計が、
結果として企業価値の最大化につながります。
私たち一般社団法人日本PMIサポート協会では、
PMI推進体制の設計から実行支援まで、
実務家の視点で伴走型支援を行っています。
統合が前に進まないと感じたときは、
人ではなく構造から見直すことが有効です。

