はじめに
M&Aは成立した。
しかしPMI(統合プロセス)が思うように進まず、現場が動かない。
2026年を迎え、私たち 一般社団法人日本PMIサポート協会 には、こうしたご相談がこれまで以上に寄せられています。
PMIが停滞する原因は、能力不足や努力不足ではありません。
多くの場合、「最初の90日」で何を決め、何を決めなかったか。
その初動設計に差があるだけです。
本記事では、数多くのPMI支援を通じて見えてきた
統合が前に進む会社が、初動で必ず押さえているポイントを整理します。
PMIの初動で起きやすい3つの混乱
1. 誰が決めるのか分からない
PMIが始まると、現場では次々と判断が求められます。
- どちらのやり方に合わせるのか
- どこまで変えてよいのか
- そもそも誰が最終判断者なのか
この「決める人が見えない状態」が続くと、
現場は自然と様子見に入り、統合は止まります。
2. 情報が集まらず、全体像が見えない
PMI初期は、
「実はこの業務は別システムで回っていた」
「この取引先は特殊な契約条件だった」
といった事実が次々に出てきます。
初動で情報整理の軸が定まっていないと、
断片的な議論だけが続き、意思決定が先送りされます。
3. 現場が“自分ごと”にならない
PMIは「経営の話」と受け止められがちです。
その結果、
- 現場は説明を待つだけ
- 本音は会議に出てこない
- 不安だけが水面下で広がる
こうした状態が固定化してしまいます。
PMI初動90日で必ずやるべき3つのこと
① 推進体制(PMIO)を明確にする
最初に必要なのは、PMIを進める“司令塔”の明確化です。
- PMIの責任者は誰か
- どこまでの権限を持つのか
- 各部門との関係性はどうするのか
専任でなくても構いませんが、
「PMIの判断はここに集約される」という構造を
早期に示すことが不可欠です。
② 統合テーマの優先順位を決める
PMIでは、やるべきことが一気に噴き出します。
しかし、すべてを同時に進めようとすると失敗します。
初動では、
- まず止めてはいけない業務
- 早期に揃えるべきルール
- 後回しにしてよいテーマ
を整理し、優先順位を公式に示すことが重要です。
「今はここに集中する」という共通理解が、
現場の迷いを減らします。
③ 経営からの一貫したメッセージを出す
PMI初期に、経営からどんな言葉が出るかは極めて重要です。
- 何を大切にする統合なのか
- どこは急がないのか
- 現場に何を期待しているのか
完璧な戦略である必要はありません。
重要なのは、一貫した方向性が示されることです。
統合が進む会社と、止まる会社の違い
PMIが前に進む会社は、
初動で「完璧な答え」を出そうとはしません。
代わりに、
- 決める構造を作る
- 優先順位を共有する
- 対話の場を意図的に設計する
こうした土台づくりに注力しています。
一方で、
初動を曖昧にしたまま走り出したPMIは、
後から立て直すほど難易度が上がっていきます。
おわりに
PMIは、
「最初の90日で全てが決まる」わけではありません。
しかし、
最初の90日で“進むか、止まるか”はほぼ決まる
――それが、私たちが現場で見てきた実感です。
PMIの初動設計に正解はありません。
ですが、失敗しやすい型と、進みやすい型は確かに存在します。
もし、
- PMIの初動で迷っている
- 体制や進め方に不安がある
- 一度立ち止まって整理したい
そう感じておられるなら、
私たち 一般社団法人日本PMIサポート協会 がお力になれるかもしれません。
現場と経営の両方に寄り添いながら、
貴社にとって無理のないPMIの進め方を一緒に考えます。

